チャラ男とちょうちょ
看板の効果はあたしが思ってた以上に絶大だった。
毎月フリーペーパーが発行されてはいるけど、街の片隅に置かれているものだし、キャバクラが好きな人じゃなければその存在なんて気付くわけがない。
実際それを見てお店に足を運んでくれる人なんてほんのわずかだ。


「看板の、真ん中の子いますか?」

看板の真ん中の子とはあたし。
お客様と笑いながら話していると、

「リオナさん、指名です」

とボーイがあたしの耳元で言う。

「今、行きます」

そう返事をして、お客様に

「ちょっと呼ばれたからいってきますね」

と言う。

「さみしいなーあ!早く戻ってきてよ?」

とお客様は言った。
その間、そのテーブルにはヘルプの女の子がついて、あたしが戻ってくるまで繋いでくれる。
看板が出てから、指名が被ることが多くなった。
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