チャラ男とちょうちょ
そんなうれしそうな涙香さんの顔を見たら、なんだかあたしのお腹の中にいる命に申し訳ない気持ちと、不安とで涙がボロボロ止まらなくなってしまった。

「あれ?なんか、悪いこと言っちゃった?」

慌てて涙香さんは言った。

「涙香さんは…何にも悪くないよ」

あたしはそう答えた。

「でも…」

涙香さんはあたしの肩に手をそっと置いた。
その手があったかくて、余計に泣けた。

「あのっ…こんなとこにいたら、誰が見てるかわかんないし…」

産婦人科、泣いてるあたし。そして涙香さん。
十分誤解される要素が揃っている。

「別に誤解されたって構わないけど」

と涙香さんは言った。
いつもより真面目に返した涙香さんにびっくりした。

「とりあえず俺の車に行こっか」

あたしは言われるがまま、涙香さんの車に乗り込んだ。
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