チャラ男とちょうちょ
「だって別れてるもん…話したら迷惑になるじゃん」

「そんな風に思うわけないじゃん」

「めんどくさいって思われたくなかったの…‼︎」

あたしは、胸が詰まりそうになりながらそう言った。

「真由美ちゃんがオレのとこ来て、真奈美に子供が出来たって言われたとき正直びっくりしたけどうれしかった。でも、ダメになったって聞いて何か悲しかった」

裕貴の思いがけないその言葉にあたしは言葉が出なかった。

「真由美ちゃんは、真奈美はすごく悩んでたって。今もきっと自分を責めてるって言ってて。真奈美が苦しんでるのにあんたが何も知らないで普通に暮らしてるのは何か腑に落ちないから、事実だけは伝えに来たって言われたんだ」

あたしは黙ったままだった。

「真奈美はそういうの求めてないって真由美ちゃんも言ってたし、オレも真奈美はそういう子だってわかってるから連絡するべきか悩んだんだけど…」

「…もう、過ぎたことなんだから謝るとかしないでよね」

涙で声がうまく出せなかった。
< 131 / 147 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop