チャラ男とちょうちょ
龍さんは帰りがけにカフェに寄ってくれた。
どれもあたし好みのメニューばかり。
何を頼めばいいか正直悩む。


「よかった!たまたま寄ったとき、真奈美ちゃんが好きそうなメニューばっかりだなって思ったんだよね」


そんなあたしを見て龍さんは優しく笑った。

そんな何気ない瞬間でも、あたしのことを考えてくれていたんだ。
それで、こうやって連れてきてくれた。

龍さんの気持ちがちらっと見えて、あたしはなんだか目頭が熱くなる。
あたしのいないところでも、そうやって考えてくれているのがうれしかった。

こういうのが、みんなの言う
『幸せ』
ってやつなのかもしれない。

あたしと龍さんはゆっくりお茶をして、帰った。
龍さんは一切手は出してこなかった。
手を繋ぐことすらしなかった。

それが逆に、龍さんの気持ちの真剣さが表れているような気がした。
< 135 / 147 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop