チャラ男とちょうちょ
あっという間にクリスマスイブになった。
連日お店ではイベントが開催されていて、忙しい。
クリスマスなんてまだ先なのにってイルミネーションが施されたときはそう思ったのに。

裕貴は、隣の市のクイーンズというお店でボーイをしていた。
忙しいときは、zeroに来ている。
さすがに、この時期はどこも忙しいから裕貴がヘルプに来ることはないだろう。
実際、あの日以来裕貴は来ていなかった。


(いるわけないよね)


どこかで期待してるあたし。
最後のお客様を見送ってそう思う。
会いたいのかな、あたし。
メール、たまにしてるのに。
ふうっと息を吐いてからお店に戻ろうとしたとき、ぐいっと手首を掴まれた。
振り向くと、裕貴がいた。

「ちょっと…‼︎」

裕貴はそのままあたしをビルの隙間に引きずり込んだ。
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