チャラ男とちょうちょ
あっという間に時間が来て、あたしはマンションまで裕貴に送ってもらうことになった。
いざ、バイバイになるとどこかさみしい気持ちになる。


「さみしい?」


裕貴が聞く。

「別にぃー」

本当は、さみしいのに素直にうんと言えない自分にすぐ後悔する。
そんなあたしの返事を聞いて、裕貴はハハッと笑った。


マンションに着くと、あたしは車を降りた。

「電話する!」

そう言って裕貴は車を走らせて行ってしまった。
あたしは、それが見えなくなるのを確認して部屋に帰った。
正直、キスぐらいはするんじゃないかと思ってた。
なんせあたしの彼氏は、巷ではチャラいと言われているボーイだから。
それなのに、裕貴はキスどころか手をつなぐことすらしなかった。
だから、あたしは少し拍子抜けした。
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