チャラ男とちょうちょ
しばらくして、2人の卓に戻った。

「すいません、せっかく指名してくださったのになかなか戻ってこられなくて」

そう言って座ると、タイミングよくフルーツの盛り合わせが運ばれてきた。

「えっ…。あたしたち頼んでません」

モモは焦ったように言った。

「あたしからの、プレゼントです。女の子のお客様だから特別に。他の人には内緒にしてくださいね」

と笑って言うと、モモはえらく感動したのか写メを撮り始めた。

「あたしも、撮ろうかな…」

「撮りなよ!うちのお店のと全然盛り付けが違うよ」

そう言って、少しの間撮影会が始まった。

(あー…あたし、何してんだろ)

そんな2人の様子を見ながらあたしは思った。
あたしの勝手な想像だけど、あゆみと裕貴はきっと何かある。
いろんなお店回るのがブームとモモは言っていたけどそれはきっと嘘だ。
愛咲リオナはどんな女なのか、確かめに来たんじゃないかと思う。

ピアスを見て、そう直感した。
だから、あたしはフルーツの盛り合わせを2人に出した。
愛咲リオナは、kissでNo.1のキャバ嬢ですと言わんばかりに。

だけど冷静になってみれば、下らないあたしのプライド。
わざわざこんなことしなくてもいいのに。

あたしらしくない。
キャバ嬢としてのあたしのペースが乱されていくような気がした。
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