チャラ男とちょうちょ
裕貴はいつも乱暴にあたしを扱うことはしなかったけど、この日はいつもより優しかった。
あたしの瞼にキスを落とす。
それが首筋に、胸元に…。
あたしはピクッとなる。

「ごめん、つけちゃった」

裕貴がそこを指でなぞる。
見ると、3ヶ所赤くなってる。

「ドレス着てもバレないとこだから大丈夫だよね?…なんかオレのだって印つけたくなった」

「うん、大丈夫」

そう言うと、裕貴はあたしのことを後ろから抱いた。
そして、背中にキスをする。
甘い刺激で体の奥がじんじんした。

だけど、裕貴の左耳には今日もピアスが光ってて甘い快感から、一気にあたしを現実に引き戻した。

(裕貴は、あゆみともこんなふうにエッチしてるのかな…)

そう思ったら目頭が熱くなった。
今泣いたら、絶対裕貴に気づかれてしまう。

「ね、裕貴。離れないで…」

一瞬離れた裕貴の肩にあたしはぎゅっとしがみついた。

「やば…溶けそう…」

そう裕貴が言った。
耳元がゾクゾクする。
心は悲しいのに体は気持ち良くて、あたしは自分でもびっくりするくらいの声をあげていた。
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