チャラ男とちょうちょ
もやもやを打ち消すには、仕事を一生懸命やるしかなかった。
あたしにはそれしかなかった。
いつもよりたくさん同伴もしたし、アフターもガンガンOKした。

この日もお客様と同伴出勤して、着替えている時だった。
鏡に映ったあたしのちょうど心臓あたりに裕貴がつけてくれたキスマークが、薄くなっていた。

わざと忙しくしてたけど、あたしの中の裕貴がこのキスマークと共に薄くなっていってるような気がした。
心がちくんとする。

だけど、あたしは頭を振って気持ちを切り替えた。

(今は塚原真奈美じゃなくて、愛咲リオナのあたしにならなきゃ)

自分にそう問いかけると、自然に気持ちが切り替わった。
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