チャラ男とちょうちょ
好きになっちゃった
あたしの働く、kissはここら辺では有名なお店だ。
もともとあたしは別のお店で働いていたんだけど、オーナー直々にスカウトされた。
まさかあたしが、有名なお店の、しかもオーナーから声を掛けられるなんて思いもしなかっただけに驚いた。

オーナーは有名なホストだった。
お水漫画のモデルになるような。
あたしはkissに来て、源氏名もオーナーの源氏名の『咲』を一文字もらって

愛咲リオナ

になった。
『咲』をもらえるということは期待されている証し。
それはkissで働いていなくても、ここら辺のキャバ嬢なら知っている程の常識だった。


そして、あたしはkissでNo.1になった。


有名なお店だけあって、女の子のレベルも高いし、毎日が戦いだった。
だけど、そんなプレッシャーの中で働くのも嫌いじゃなかった。
女の子同士もギスギスしてなくて、だけどいいライバルで。
前のお店では、くだらない嫉妬に巻き込まれたりしたから、kissに来てイメージがだいぶ変わった。

キャバ嬢として頑張るのが楽しくて、恋愛なんてしばらくしていなかった。
キャバ嬢は恋愛してらんない、なんて言うのは嘘で、彼氏がいる子なんてたくさんいた。
ただ、あたしは両方上手くやれるほど器用じゃないと自分でわかっていた。
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