チャラ男とちょうちょ
「リオナさん、お願いします」

ボーイに促されたのは、裕貴が座る卓だった。

「すいません、ちょっと失礼しますね」

そう言うと、

「リオナちゃん、早く戻ってこいよ!」

と社長が言った。


「リオナです。はじめまして」

あたしはそう言って、裕貴に名刺を渡した。

「水割りでいいですか?」

「…うん」

あたしは無言で水割りを作って裕貴に差し出した。
それを裕貴はぐいっと飲んだ。

「…何できたの?」

「真奈美がシカトするから」

「別にシカトなんてしてないよ」

「してんじゃん。こうでもしないと会えないと思ったから、来た」

よかった、今日がこんなに騒がしい日で。
そうじゃなかったら、きっとあたしたちの変な空気に気付かれてたに違いない。
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