チャラ男とちょうちょ
長いようであっという間に仕事は終わった。

「リオナ、支度できたか?」

控え室のドア越しに店長の声がする。
あたしたちのお店は雇いのドライバーがいなくて、当番制でボーイさんが送ってくれる仕組みになっていた。
ただ、あたしの場合は違っていつも店長が送ってくれていた。
きっと、オーナーから言われてるんだと思う。

「お疲れさまでしたー」

あたしはみんなに挨拶をして、ドアを開けた。

「うちの店が入ってるビルの上に看板立ってるだろ?」

車に乗り込むなり、店長は口を開いた。

「あの看板、うちの店の宣伝に使えるようになったから」

「ふーん」

「ふーんて…他人事みたいに言うけどな、お前とルナとつかさで行こうと思ってるんだ」

「えぇー…」

「急に決まったから、悪いんだけど明後日撮影な」

あたしは店長が言うことを、車の窓を見つめながら聞いていた。
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