チャラ男とちょうちょ
裕貴は、あたしの頭の上に自分の頭を重ねた。
きっと、何にも問題のないカップルなら幸せな時間に違いない。
だけどあたしの心は苦しくて苦しくて、苦しかった。

裕貴は、そのままキスをした。
唇を離したあとあたしの瞳を覗き込むと優しく笑った。

「好き?」

「うん」

「オレも好きだよ」

素直に喜んでいいのかな?
あたしは精一杯微笑んだつもりだったけど、裕貴にはどんな風に映っていたんだろう。

それから、裕貴はお店から電話がきて結局戻るはめになってしまった。
やっぱり下だけではだめだったようだ。

裕貴を見送ったあと、あたしはため息をついた。

もう終わりにしようって決めた途端、こんな風にしてくるなんてズルい。
今さら、遅いよ。
正直、もう疲れちゃった。
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