チャラ男とちょうちょ
一旦お店に帰ったはずの裕貴が、朝早く迎えにきた。
もうすぐ夏が近づいてきているせいか、外は眩しいくらいに晴れていた。
もう、今日は会わないと思ってた。
まるで、あたしが終わりにしようとしているのを阻止しているみたいだ。

裕貴の部屋はカーテンが引かれて薄暗いままだった。
裕貴はスーツを脱いで、シャワーを浴びに行った。

(もう、この部屋に来ることはないだろうな…)

そう思いながら裕貴の部屋のいろんなところを見渡した。
両思いって、片思いより辛いなぁなんて考えた。

だって今のあたし、2人でいるのにひとりでいるみたいだから。
恋愛って、ひとりじゃ始められない。
片思いなら一方的な気持ちを抱えながらできるけど、両思いって2人の気持ちが通じ合って成立するものだと思う。
それなのにあたしは、片思いをしてるみたいな気持ちになる。
そんな自分が時々虚しい。
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