チャラ男とちょうちょ
裕貴は駅まで車で送ってくれた。

「じゃ、また連絡する」

「うん!送ってくれてありがとね」

「ごめん、家まで送れなくて」

「あたしの方こそ遅刻させちゃってごめん…」

「いいの!オレが遅刻するって決めたんだから」

裕貴はあたしの目を見て優しく笑った。
そして、裕貴は優しくキスをした。

「仕事、頑張ってね」

「うん」

この場から離れたくない。
あたしたちは、なかなか次の言葉を発しようとしなかった。

「真奈美、愛してるよ」

好きって裕貴から、何回も言われたことはあったけど愛してるよなんて言われたのは初めてだった。
あたしは、自分から裕貴にキスをして

「じゃ、またね」

と言って車から降りた。

どうして、離れようとすると近づいてきてそばにいたいと思うと離れていくんだろう。
月と太陽みたいに、永遠に追いかけっこしてるみたいだ。

だけど、離れるなら今。
2人の気持ちが近づいて、幸せな記憶しか残らない今だと思う。

あたしたちは、同じ星空の下でいつも仕事をしていた。
両思いなら、この星空も同じように見えてるって思ってた。
でも、10人いたら10人の見え方がある。
あたしと裕貴だって見え方が違っていたんだよね。
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