追憶の勿忘草〜例え記憶がなくとも〜
妾は花蘇芳 鬼閖。
サオトナバナ〜人嫌い〜
《鬼閖side》
「誰か、この問題わかる者はいるかぁ?」
少し気の抜けた、担任の声がクラスに響く。
嗚呼、くだらない問だ。
こんな簡単な問など、聞くまでもない。
「え〜と……誰も分からないか………。
誰か居ないか??」
………落ちぶれたものだな。
仕方が無い、妾が解いてやろう。
『…………妾が解けます。』
「あ、あぁ、花蘇芳か。
と、解いてくれるか??」
…………何故そこまで狼狽える?
『…………─────だ。
間違いないだろう?』
「おぉ、せ、正解だ。
よくやった、ありがとう。」
『いえ。この程度当たり前である故。』
くだらない、くだらない。
そこでいちいち妾を褒めて機嫌取り等、
吐き気がする。
…………それにしても、小童どもの
喚きは五月蝿くて堪らん。
「花蘇芳って『妾、妾』って
気持ちわりぃよな。」
「ホントホントww
自分が一番って思ってるしぃw」
「先生に媚売っちゃってww
せこいよねぇ〜……。」
ほら。くだらない。
妾、などと昔の様な話し方をするのは、
ただ単にこの話し方が好きなだけ故。
どちらにせよ、頭脳、運動全てにおいて
一番なんだから当たり前だろう。
先生などに媚なんぞ売る戯けが何処に居る。
逆に売られ、たまったものじゃない。
所詮、人間なんぞ、上辺だけの関係さえ
あれば、人がどうなっても自分には
関係ないと、知らんぷりだ。
人より自分、己の為ならば人を踏み台に
しても構わないという愚かな輩よ。
妾はその者達を許す事などない。
いずれそのうちその者達を裁きにかける。
─────ふふふ。見ものだな。
妾はまだ知らぬ。
今日までの、その生活が明日から
劇的に変わってしまう事など…………。
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