黒愛−kuroai−
張り切って柊也先輩に近付いて行く。
お茶を零したアクシデントのお陰で、私達は校内で話しをする関係になっていた。
廊下ですれ違えば挨拶するし、
テニス部の練習を見に行けば、笑顔で手を振ってくれる。
「柊也先輩!」
「おっ 来てくれたんだ」
「もちろんです!
先輩の勇姿を撮るために、一眼レフカメラも持って来ました!」
「マジ?照れるね」
隣で柔軟体操中のテニス部員が、彼をからかう。
「あーこの子?
お前の信者って言ってた子」
「信者なんて言ってないだろ。
いつも応援してくれる、愛美ちゃんだよ」
“愛美ちゃん”そう呼ばれ、くすぐったい。
初めは“黒田ちゃん”と名字で呼ばれたけど、今は名前で呼んでくれる。
私と彼の距離はグングン近付いている。
当たり前。
これが運命ってヤツだから。