黒愛−kuroai−
今日は差し入れを持って来た。
スライスしたレモンを蜂蜜に付けた“蜂蜜レモン”
タッパーの蓋を開け、
柊也先輩の前にそれを差し出した。
でも、彼が受け取る前に、
ショートヘアの女子に取り上げられてしまう。
この子は1年生マネージャー。
私もテニス部のマネージャーになりたかったのに、経験者じゃないから落とされてしまった。
その子が言う。
「大事な試合前に、変な物食べさせないで。
手作りなんて、何入ってるか分かんないしダメ」
睨むような目付き。
直感で分かった。
この子…私の敵。
言われ放しで引っ込む私じゃない。
一歩前に出て言い返した。
「変な物なんて入ってないよ。
蜂蜜とレモンだけ。他は何も入れてない」
「それを証明出来ないでしょ?
これ持ってどっか行って、邪魔」
蜂蜜レモンは突き返され、おまけに邪魔って…
激戦を勝ち抜きマネージャーになれたからって、偉そうに。
性格悪い上に、コイツは絶対柊也先輩を狙っている。
今のところ、こいつが1番の敵みたい。