黒愛−kuroai−
泣き続ける私を腕に守り、彼はブタ子達4人を、順に睨みつけた。
「お前ら… テニスの応援しながら、陰でこんな事してたのか…」
ブタ子達に言葉はない。
ずぶ濡れズタボロの私。
明らかなイジメ現場を押さえられては、言い訳しようがない。
柊也先輩の胸に顔を付けながら、チラリ横目で様子を見る。
4人とも青ざめ、小刻みに震えていた。
今まで地道な応援や差し入れで、積み上げてきた自分の評価。
それが、がた落ち、マイナス、奈落の底。
恋する彼に軽蔑されたショックは、計り知れない。
やっとブタ子が、小声で言い訳し始めた。
「ごめんなさい…
あの…でもこれは…やりたくてやった訳じゃなくて…
全部命令されて…」
苦しい言い訳は逆効果。
柊也先輩の目付きは更に険しくなり、菜緒は怒りを爆発させた。
「愛美にこんな真似して、何言ってんのよ!!
本当最低、ここまで嫌な奴だと思わなかった!
どうせ、今までのイジメも全部、あんた達の仕業でしょ?
中傷ポスターに、悪口書いたり、上靴盗んだり、どれだけヤレば気が済むのよ!」