黒愛−kuroai−
「違っ…」
「しらばっくれるのも、いい加減にしな!
全部、柊也先輩に言ったからね。
あんた達が愛美にしてきたイジメの全部、さっき私が教えたから!」
ブタ子達を怒鳴り付けてから、菜緒は「ごめん」と私に謝った。
“イジメを絶対に彼に言わないで”
そう言い続けた私。
我慢できず、その約束を破ったことに謝っていた。
柊也先輩の胸から顔を離し、菜緒を見る。
首を横に振って、私も謝った。
「菜緒…私こそゴメン…
柊也先輩に言えなくて…
菜緒にたくさん心配かけて…ゴメンね…
助けに来てくれて、ありがとう…」
私を抱える腕に力が籠もる。
息が苦しくなるほど、強く抱きしめられた。
彼は吐き出すように、こう聞いた。
「中傷ポスター以外、イジメに気付けなかった…
何で俺に言わなかった?
言ってくれないと、守れないだろ…」
複雑な声色。
イジメに気付けなかった事への悔しさと、
隠していた私に、呆れのような気持ちも感じる。