黒愛−kuroai−
 


なぜ隠していたのか…

それはアナタに深く反省して貰うタメ。


私と適度な距離を置きたいなんて、そんな愚かな考えを反省して貰うタメ。



ポロポロと涙を流し、説明した。




「イジメを知られたら、“別れよう”と言われる気がして、言えなかったの…

ごめんなさい…」




「そんな事、言うわけないだろ」




「そうかな…

私をイジメる人達全員、
“アナタのファン”だよ?

“アナタが好きだから”
彼女である私をイジメるの。

優しい先輩は、私を守る為、別れようとする…そう思うと怖かった…」





腕の中で顔を上げる。

柊也先輩の瞳には、私に対する呆れは消え、

代わりに、後悔の色が広がっていた。




彼の心が透けて見える。


イジメていたのは…自分のファン…

根本的な原因は自分にある…

それに気付かず、彼女を責めた愚かな俺…




< 170 / 276 >

この作品をシェア

pagetop