黒愛−kuroai−
なぜ隠していたのか…
それはアナタに深く反省して貰うタメ。
私と適度な距離を置きたいなんて、そんな愚かな考えを反省して貰うタメ。
ポロポロと涙を流し、説明した。
「イジメを知られたら、“別れよう”と言われる気がして、言えなかったの…
ごめんなさい…」
「そんな事、言うわけないだろ」
「そうかな…
私をイジメる人達全員、
“アナタのファン”だよ?
“アナタが好きだから”
彼女である私をイジメるの。
優しい先輩は、私を守る為、別れようとする…そう思うと怖かった…」
腕の中で顔を上げる。
柊也先輩の瞳には、私に対する呆れは消え、
代わりに、後悔の色が広がっていた。
彼の心が透けて見える。
イジメていたのは…自分のファン…
根本的な原因は自分にある…
それに気付かず、彼女を責めた愚かな俺…