黒愛−kuroai−
私の涙を指で拭き、自分の愚かさをごまかすかのようにキスしてきた。
人前でのキスはいつも嫌がる。
それなのに、今は後ろめたさに、私の機嫌を取ろうとする。
唇を離した後は、シナリオ通りの約束をくれた。
「俺って相当バカだよな…
ゴメンな…愛美に悲しい想いをさせていた事、やっと今気付いたよ…
確かに適度な距離が欲しかった。けど、それは飽きたからじゃない。
分かってよ、俺も愛美がかなり好き。
別れるなんて言わないし、これからは俺が守るから。
ずっと側にいる。
お昼も放課後も休日も、ずっと一緒にいよう」
筋書通りの嬉しい言葉に、パッと表情を明るくし、抱き着いた。
背中に腕を回し、シトラスの香りに顔を埋める。
“ずっと一緒にいよう”
その約束が欲しかった。
愛し合う2人に適度な距離は必要ない。
もっと近くに…
どろどろグチャグチャ混ざり合うくらい、近くにいたい…