黒愛−kuroai−
 


心なしか、菜緒の顔が青ざめて見える。


脱いだコートがバサリ落ちると、菜緒はハッとして鞄から絆創膏を取り出し、指先に巻いてくれた。



「愛美の笑顔って…時々恐いよ…」

そんな言葉を添えて。




 ◇


その日の放課後、部活を終えた柊也先輩と校門を出る。


マックに寄りたいと言うと、笑顔でOKしてくれた。



駅前の大通りは、帰宅途中の会社員や学生で混み合っている。


マック店内も賑わい、色んな制服の高校生で溢れている。



1階も2階も空席はなく、みんなお喋り目的だから、待っていても空きそうになかった。




諦めて店を出た。


私も先輩もバイトをしていないので、高い店には入れない。

放課後寄るのは、マックかドーナツ屋が精一杯。




マック店内でポテトの匂いを嗅いだため、一層お腹が空いてしまった。


でも席がなければ仕方ない。


諦めて帰ろうと歩き始めた時、チラシ配りのお姉さんに、こんなチラシを渡された。



『パスタ屋POPOS、新装開店!
開店当日のみ、パスタ全品500円!』




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