黒愛−kuroai−
 



 ◇


昼休み、教室でお弁当包みを広げる。



二段のお弁当箱、
下段は、白米の真ん中に梅干し一つだけ。

上段は、昨日の夕飯の残りのおかずが詰められていた。



お母さん…
今日のお弁当は随分と手抜きだね…



文句は言えない。

言えば
「じゃあ自分で作りな」
と言われてしまう。



朝はお弁当なんて作っている時間はないのだ。

髪のセットに一時間かかるから、戦場のように忙しい。




カラッと感ゼロのコロッケに箸を突き立てた時、

どこかへ行ってた菜緒が戻って来た。




「あー、先に食べてた。
ごめーん」



「そんなのどうでもいい!
ニュース、ニュース!
あのね?大きい声じゃ言えないけど………―――――――――――――――――」





菜緒は小声で話そうとしていたが、興奮し、どんどん声が大きくなって行く。


興奮の理由は、
今朝の悲鳴の件を探ってきたからだ。



あの悲鳴は思った通り、中沢亜子の悲鳴だった。


菜緒はこんな話しを教えてくれた。



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