黒愛−kuroai−
私にぶつかった後、彼女は澄まし顔で教室に入って行った。
そしてすぐに異変に気付く。
何故か自分の机を、クラスメイト達が取り巻いているのだ。
人を掻き分け、自分の机を目にして…
彼女は悲鳴を上げた。
机が真っ赤…
鮮血のように真っ赤なインクで、表面を塗られていた。
更にその上には、カラーピンが並んで突き刺さり…
こんな文字を形作っていた。
―― テ ニ ス ブ
ヤ メ ロ ――
これが今朝の悲鳴の理由。
菜緒は面白がっていた。
入学してから二ヶ月も経てば、学校生活に新鮮味がなくなる。
退屈気味の日々に起こった怪事件だと、興奮していた。
その話しを「ふーん」と聞きながら、私はモグモグお弁当を食べ続ける。