黒愛−kuroai−
 



 ◇


嫌がらせ初日から、半月が経過した。



放課後、いつものようにテニス部の練習を見に来た私。

テニス部員がぞろぞろとコートに入る中、柊也先輩の姿が見付からなかった。

中沢亜子の姿もない。




不信に思い、二人の姿を探す。


テニス部の部室は、グラウンド脇のプレハブ長屋の一室だった。

その前を通ると、中から話し声がした。



ドアを少し開け中を覗くと、探していた二人がいた。



この位置から見えるのは、柊也先輩の背中と、俯く中沢亜子の顔。



先輩が静かに諭すように話しかけていた。



「亜子の為に言ってるんだ…もうマネージャー辞めた方がいい…
嫌がらせがエスカレートしたらどうする?」



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