黒愛−kuroai−
 



退部を勧められていた。


最初の嫌がらせで、机に残された言葉は、
『テニス ブ ヤメロ』のメッセージ。


退部すれば、きっと嫌がらせは終わるだろう。




退部の勧めに、彼女は首を横に振る。



「私…辞めたくありません…嫌がらせにも負けたくない…」




柊也先輩は「心配だから」と繰り返し説得するが、

それでも彼女は辞めないと言い続けた。




平行線の話し合いが暫く続く。


言うこと聞かない後輩に、柊也先輩が苛立つのを感じた。



蹴飛ばされたパイプ椅子が、大袈裟な音を立て転がった。

蹴ったのは彼。

驚いて小さく叫んだのは彼女。




彼女を心配していた筈の先輩が、とうとう本音を吐き出した。



< 24 / 276 >

この作品をシェア

pagetop