黒愛−kuroai−
退部を勧められていた。
最初の嫌がらせで、机に残された言葉は、
『テニス ブ ヤメロ』のメッセージ。
退部すれば、きっと嫌がらせは終わるだろう。
退部の勧めに、彼女は首を横に振る。
「私…辞めたくありません…嫌がらせにも負けたくない…」
柊也先輩は「心配だから」と繰り返し説得するが、
それでも彼女は辞めないと言い続けた。
平行線の話し合いが暫く続く。
言うこと聞かない後輩に、柊也先輩が苛立つのを感じた。
蹴飛ばされたパイプ椅子が、大袈裟な音を立て転がった。
蹴ったのは彼。
驚いて小さく叫んだのは彼女。
彼女を心配していた筈の先輩が、とうとう本音を吐き出した。