黒愛−kuroai−
Epilogue
◇◇◇
目を開けると、白い空間にいた。
白い天井、白いカーテン、白いベット…
ここは、どこかの病院みたい。
全身、ガーゼと包帯で包まれ、ミイラ状態になっていた。
ベットサイドには、パイプ椅子に座る母の姿。
疲れた顔で、ウトウト眠っている。
酸素マスクの中から、くぐもる声で呼び掛けると、母はゆっくり目を開けた。
意識のある私を見て、少し驚き、迷惑そうな顔して溜息をついた。
今の状況を、飲み込めずにいた。
何も覚えていなかった。
なぜ大怪我して入院しているのか、頭の中は疑問符で埋め尽くされた。
自分の身に何があったのか、尋ねると、
「親に迷惑掛けんじゃないよ…」
そう言われ、一通の手紙を目の前に広げられた。
『お父さんお母さんへ
柊也先輩の赤ちゃんができたけど、彼が結婚より心中したいと言うので、一緒に死ぬことにします。
後始末よろしくね♪
愛美 』