黒愛−kuroai−
◇◇
それから数日が過ぎた。
まだ体を動かせず、両腕骨折でスマホを持つことも出来ず、退屈していた。
暇潰しに、私を妊娠させ心中を持ち掛けたらしい、“柊也先輩”について考えていた。
考えると言っても、どんな容姿なのかと、その程度。
覚えていないので、感傷的になれない。
ハッキリ言って、どうでもいい存在の彼。
それでも退屈しのぎに考え続けていると、自分の中のある変化に気付いた。
私の心に、今までなかった穴が開いていた。
ぽっかり開いた大きな穴に、虚しい隙間風が吹き抜ける。
夢と目標を失った…
良く分からないが、そんな気分になり、溜息をつきたくなる。
この穴を、どうすれば埋められるだろう…
どうすれば、心に活力が戻るだろう…
退屈な日々の中、そんな事を考え続けていた。