黒愛−kuroai−
静かな気合いの籠もる目…
柊也先輩が本気で走ると、付いて行けないのは想像に易い。
後方に下がろうかと考えたが、少しでもいいから隣を走りたかった。
スタートのピストルが鳴らされ、一斉にスタートした。
少しくらいは一緒に…
そう思っていたが、スタート直後に置いて行かれた。
こうなると、もうやる気ゼロだ。
ゆっくり歩く私を、邪魔だと言いたげに大勢の生徒が抜いて行く。
数分一人で歩き、後方スタートの菜緒に追い付かれた。
「あれ?柊也先輩と一緒に走るんじゃなかったの?」
「無理だった。先輩本気出すって言うんだもん。
菜緒〜一緒に歩こ?友達だよね?」
「あんたって…
清々しいほど、ワガママだよね…」
菜緒と喋りながら歩いていたが、数分してお互い無口になる。
歩いているだけでも相当疲れていた。
日差しが強く肌がジリジリ焼ける。