黒愛−kuroai−
ハンカチを出して拭いてみたが、ハンカチ一枚で済むレベルじゃない。
困った。
彼と話しが出来て最高に嬉しいが、午後の授業をどうすれば良いのか。
今日は体育がないので、ジャージも持って来ていない。
困る私に彼が嬉しいことを言った。
「俺のジャージ、かなり大きいと思うけど、それ着てくれないか?本当にごめん」
柊也先輩のジャージ…
嬉しくてたまらない。
零してラッキーと言いそうになり、慌てて笑ってごまかした。
◇
先輩が貸してくれたジャージは、上下真っ白なテニス部のジャージ。
それを着て、午後の授業を受けている。
いつもは眠くなる午後一の英語。
今日は嬉しくて眠気はどこかに吹き飛んだ。
こっそり衿元の匂いを嗅ぐと、爽やかなシトラスの香りがした。
柊也先輩の香り…
いい匂い……