我が子がオッサンに見える件について
腹の中でそう呟く私と裏腹に父さんは何食わぬ顔で戻ってきてはドカッとソファーに腰を下ろし“母さん! ビール”と言っている。
でも、私は聞こえない振りをした。だって、私はあなたの母さんではないから。
私の息子はタク。ただ一人!

腹の中でそう言いながら、私は包丁で野菜を刻む。

けど、今日は帰りが遅いわ。
……何かあったのかもしれない。

もしかして、事故に遭ったのかもしれない。

じゃなかったら通り魔に襲われたのかも。

ううん、私に似て超可愛いから誘拐されたのかも……
有り得るわ!
< 4 / 82 >

この作品をシェア

pagetop