我が子がオッサンに見える件について
オムレツの乗った皿がフローリングの床に叩き付けられた。耳をつんざく音が静かなリビングに響き渡る。

「………………」

その後は、不気味な程の沈黙が訪れる。ニュースを読み上げるアナウンサーの声だけが淡々と流れる。

「ミエル?」

「ママ?」

父さんは目を点にしてポツリと呟く。タクは心配そうに私の顔を覗き込む。

「い、いやぁぁぁぁ!」

けど、私は思いきり後退りをしてタクから逃げる。
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