深愛なるキミ
でも、もし俺が〈ヒロム〉にならなかったら同じ状況でもあいつらを止められたのかな。


ひなたのことが好きな気持ちには変わらないけれどきっと何もできず、あいつらに適当に合わせるだけの最低なやつのままだったかもしれない。



俺が〈ヒロム〉として経験したことはひなたとちゃんと向き合うためには大切なことだった。

でも、ひなたを騙してたことには変わらない。



「クラス会、欠席させてごめんな。ちゃんと話したいからひなたさえ良かったらアップルパイ食べに行かないか?」



彼女は小さく頷いてくれた。


少し、迷ったけれど小さな彼女の手をギュッと握りしめる。戸惑ってはいたけど彼女もそっと俺の手を握り返してくれた。
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