深愛なるキミ
ああ、この子も佐野くんのことが好きで好きでたまらないんだな。

分かってるよ。佐野くんがそんな風に私を見てないことも。


だけど夢でも幻でもいいの。


佐野くんが私を解放するまで
私は佐野くんの彼女でいるんだ。



「俺のこと、優志って呼んでよ」



ホワイトデー。彼にキャンディを貰った後には公園でそう言われたとき、見つめられて言葉が出てこなかった。


少しずつ近づいてくる彼の顔。怖くなってキュッと目を瞑ると優しいキスが額に降ってきた。
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