深愛なるキミ
誘われたら断わらないし、去る者も追わない。


適当な奴らとツルんで適当に合わせる。それが前の俺。



でも、あの日俺は恋に堕ちた。



左足を引きずりながら歩くキミが必死で乗った電車の中、譲ってもらったはずの席を笑顔でおばあさんに譲ったその姿に。



「私は大丈夫なので座ってください」



俺の目は彼女に釘付けだった。


同じ学年に足の悪い子がいるということだけは知っていた。


だけど興味がなかったし、関わることもなかった。
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