深愛なるキミ
声は聞こえるというのにひなたは俺に合わせて筆談での会話をしてくれた。


オススメのアップルパイを半分こして口に運ぶ。嬉しそうなひなたの笑顔を見ることができた。



離れていた時間を埋めたくてたくさんノートで会話をした。あくまでも俺だと分からないようにヒロムという別の人間を装いながら。

離れるのが嫌で引き寄せたいその気持ちを抑えながら彼女を見送った。

彼女は俺が思っていた以上にずっとずっと心が綺麗で澄み切っている。



蔑まれる俺のそばに来て、俺だけに向けられていた嫌悪的視線を自分の足を見せることで半減させてくれた。
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