深愛なるキミ
咄嗟に離される手。



ごめんという意味でヒロムくんが頭を下げる。わたしも首を振った。



離さないでって思った私は・・・掴まれたその腕をギュッと包み込むように掴んだ。





「また、どこかに遊びに行こうね」


【うん。次は水族館もいいね】




そんな約束をして、私の家の近くまで送ってもらってまたそこでさよなら。



ヒロムくんは、好きな人に振られて失声症になった。

その人はどんな人だったんだろう。


ヒロムくんの声はどんな声?どんな顔をしているのかな。


まだ会って2回目なのに、ヒロムくんのことが気になって仕方ない。



こっち、振り向かないかな。
そう思いながら遠ざかる背中をずっとただ見つめていた。
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