誰よりも優しい総長様
もう一度あいつらと共に居たい。
そんなことから俺は退院と同時にこの街に戻ってきた。
薬でガンの進行速度は遅らすことができても結局は終わりを告げるんだ。
大切な奴でさえ俺は大切に出来ないんだ。
そう思うと不意に涙が溢れた。
「慶?泣いてる…」
隣から聞こえる柚那の声
本音を言えば直前まで側に居てやりたい。
でも、それはこいつを苦しめるんだろうな。
そっからは行動が早かった。
「柚那…別れよ。」
「ぇ…!?」
それだけの言葉を残し俺はある場所へ向かった。
後ろで聞こえる愛しい奴の鳴き声
拭ってやりたいけどもうできない
振り返れば全てが崩れてしまいそうだから。
コンコン
俺はある部屋の扉をノックした。