誰よりも優しい総長様


「ゆず…な…」


そう呼べばあの人変わらない暖かい笑みを浮かべてくれた。


でもそれはほんの一瞬だった。


柚那は俺の元へ来ると俺の頬をひっぱたいた。


バチーン


病室の中には乾いた鈍い音が響いた。


「ちょ、柚那ちゃん!?」


「柚那!?」


「おいっ!?」


突然の柚那の行動にみんなが驚いた。


そして周りなんてお構いなしに柚那は叫んだ。


「ねぇ、なんで?なんで慶は勝手に何でもかんでも決めるの?なんであたしには何にも教えてくれないの?あたしって頼りない?慶に使われるだけの都合のいい人形なの?ねぇ、何とか言ってよ!」


柚那は俺の胸を叩きながら叫んでる。


なのに俺は何にも言えなかった。


「柚那、やめろ!一旦落ち着け。お前はバカかよ?」


そんな柚那を止めたのは蓮だった。


「慶はガンなんだよ。残り少ないからって、そんなんでお前を幸せにできないかr「やめろ!それ以上のことは言うんじゃねーよ!こいつには関係ない!」」


俺は蓮の言葉を遮るように叫んだ。


こいつにだけは言ってはいけない。


こいつが知ってはいけないんだ。


こいつだけは俺を忘れて幸せになって欲しいから。


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