誰よりも優しい総長様
「慶が、そんなこと?…」
「あぁ。」
あたしは思わず慶の病室にまた戻っていた。
やっぱりちゃんと伝えたい。
そう思ったから。
あたしは病室の前につくと1回深呼吸をして息を整えてから扉を開けた。
ガラガラガラ
しかし中に玲と卯月の姿はなく、ベッドに居た慶はあたしを見て驚いた。
「ったく、んにしに来たんだよ。」
浴びせられる口調の強い言葉
でもあたしにはそれが怖いとは思えなかった。
「蓮から聞いた…」
そう一言いえば慶は目を開いて驚いた。
「慶、間違ってるよ。」
「は?」
「あたしの幸せを祈るなら慶が側に居なきゃ意味が無いの。死んじゃうってなら、尚更。最後まで一緒に居たい…よ…。」
グスン
最後の方の言葉は涙で邪魔をされて自分でもなにを言ってるのか分からなかった。
「柚那…」
あたしは勢い良く慶に飛びついた。
「ねぇ、側に居てよ。最後まで一緒にいてよ。この子のことも見てよ。ねぇ!」
そう言って泣きつけば慶はそっとあたしの髪を撫でてくれた。