誰よりも優しい総長様
「俺と居て柚那は後悔しない?俺はずっと一緒には居られないんだぞ?それでも良いのか?」
あたしは何も言わずにただ頷いた。
それからは何も変わらなかった。
前みたいに慶の隣にあたしの居場所がある。
それだけで嬉しかった。
学校が終われば病室へ行き、休みの日もほとんど病室に行く。
ただ1つ前と違ったのは慶が日に日に衰えていくこと。
そして、あたしのお腹が膨らんできたこと。
新しい命が生まれようとする中で、別の命が消えようとしている。
生きていれば来るはずの別れ。
それでも人は生きるんだ。
あれから半年が過ぎた。
相変わらず慶は衰えていくばかり。
そんな中あたしはお腹の膨らみも大きくなり学校を辞めた。
一時は酷かったつわりも今は安定期に入り収まった。
もういつ生まれてもおかしくない。
「だいぶ大きくなったな。」
「ねぇー。もうすぐ会えるんだね。」
「性別は?」
そんなありったけの会話をしてるあたし達。
こんな状態が続けばいいのに。
慶の病気が嘘なら良いのに。
そんなことをもう何度考えただろうか?
何も変わらないのに…