誰よりも優しい総長様


よく見れば髪の色は柚那と同じ茶色だった。


そして目鼻立ちはたぶん俺だろうか。


ゆっくりと開かれる赤ん坊の瞳


それは青と黒のオッドアイの姿だった。


「可愛いでしょ?」


そう言って微笑みながら聞いてくる柚那。


その顔はまさに母親の顔そのものだった。


「あぁ。」


そしてゆっくりと微笑んだ時


カシャ


カメラを切る音が聞こえた。


柚那の携帯だ。


「せっかくだから撮っちゃった。」


そうやって無邪気に笑う柚那


そんな中でいつもの検診の時間らしく担当の看護師がやってきた。


「あら、無事に産まれたんですね。」


「おかげさまで。」


「可愛らしいわ。」


そう言って微笑みながらのぞき込んでいた。


「お名前は?」


そう聞かれた時俺は迷いも無く言った。


「由唯 ユイです。」


そう、俺と柚那の文字から1個ずつ取って由唯


俺と柚那の子供だって証


「そう、いい名前ね。」


< 146 / 159 >

この作品をシェア

pagetop