誰よりも優しい総長様


あたしがどれだけ時を拒んだとしても時は止まることなく進んでいく。


そして今は放課後。


SHLも終わろうとしていた時だった。


あたしは隣から来る視線に耐えられず慶に訪ねた。


「何か用?」


「放課後、ここにいて。」


それだけの言葉。


もしかすれば慶は気づいたのかもしれない。


あたしがあそこに居ない事に。


それでもあたしはその言葉に頷くしか無かったんだ。


そして、SHLが終わり生徒はみんな原付のキーを握り締めて帰っていく。


卯月もデートだと言って帰ってしまった。


そのため今こうして教室に残っているのはあたしと慶の2人だった。


「柚那、見ないうちにほんとに綺麗になったね。学校1って噂みたいだし…」


そんなことを前置きの様に並べてくる慶。


それはまるで離れていた時を確認するかのようにも見えた。


「慶も変わったよね。」


あたしからはその一言だけ。


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