誰よりも優しい総長様
そう、慶は変わってしまった。
あたしの知る限りの慶とは遠くかけ離れていたんだ。
「変わった…まぁ、変わってないって言えば嘘になるかな?」
そんなことを言う慶はどこか遠くを見ていた。
「昨日、久々に倉庫に行ったんだ。」
慶から飛び出したのは予想外の一言だった。
「けど、倉庫には柚那の姿は無かった。あったのは柚那を探すあいつらの姿だけ。」
やっぱりね。
「ねぇ、慶は何を思ったの?」
「は?」
あたしが問いかけた質問はまるで何を言ってるのか分からないと言ったような返事が返ってきた。
「慶はあたしにあそこを託してくれたけど、あたしはもうあそこには居ない。約束を破ったあたしに慶は何を思ったの?」
今度は慶の目を見ながら問いかけた。
「俺は…寂しかったよ。」
それだけを呟くように答えた慶
寂しかった?
「なぜ?」
「柚那なら待っていてくれると思ってたから。」
そう言って微かに笑う慶の顔は昔とあまり変わらなかった。
「そっか。」
「なぁ?」
今度は慶があたしに問いかける。