誰よりも優しい総長様

あたしたちが№1となって数日


あたしは慶に呼ばれて総長室に居た。


そして告げられた真実。


それは慶がここから離れて行ってしまうこと。


あたし達、羨美にとっては慶は絶対に必要な存在だった。


喧嘩は強いし、みんなをまとめる力だってある。


そんな大切な慶がここから離れていってしまうなんて…


あの時のあたしはそれを受け止めることができなかったんだ。


「慶、嘘だよね？ねぇ、嘘だって言ってよ！」


慶にはどうしようもないことだと分かっているのにあたしは泣き叫んでいた。


「嘘なんかじゃねーよ。だから…」


そして告げられたのはあの約束だったんだ。


「柚那、俺が戻るまでここを、支えてくれ。そして、俺が戻ったら…姫になってくれ。」


あの時は嬉しかった。


慶が戻って来るなんて保証はどこにもなかったのにあたしはそれを信じきっていたんだ。


今思えばほんとに馬鹿な話だと思う。