誰よりも優しい総長様
扉を出て下を見れば規則正しく並ぶ下っ端たちの姿
これも変わらないんだね。
「慶と柚那から話がある。」
そう言って伊月はあたし達に話を振った。
先に話すのは慶だ。
あたしは、それを黙って聞いていた。
「まずは、こんなふうに集まってもらってごめん。」
そう言って頭を下げる慶。
そこにはプライドも何もないただ謝る慶がいた。
そしてゆっくりと話し出す慶
親の命令で急にこの街を去り、何も言えなかったこと。
そして、みんなに迷惑を掛けたこと。
みんなの知らなかった慶の事実を改めて聞いた。
「許してもらえるとは思ってない。でも、真実だけは知っておいて欲しかったんだ。本当にすまない。」
そして、回ってくるあたしの番
「今まで急に消えて帰って来なくてごめんなさい。」
あたしは一旦頭を下げてから、慶に話したようにあの時のことを話した。
そして1度は足を洗ったこと
それでも、戻りたいと思っていた自分がいた事
あたしは全てをみんなに伝えた。
「最後まで迷惑ばかりで、頼りなくてほんとにごめんなさい。」
そしてあたしは最後にもう一度頭を下げた。
いろんな場所で啜り泣く声が聞こえてくる。