誰よりも優しい総長様
そんな疑問を抱えながらあたしは靴を履いた。
「「行ってきます。」」
それだけを家の中に響かせてあたしたちは学校へ向けて歩き出した。
いや、歩き出すはずだった。
「ゆな、これかぶれ。」
そう言って渡されたのは昔からあたしの使ってるメットだった。
「もしかして転がす気?あたしが乗れないのを知ってて?」
「うっせー。早くしろ。」
「だから!」
そう言った瞬間あたしの手にあったメットはお兄ちゃんに取られ被せられていた。
そして抱き上げられる体。
ドサッ
乗せられたのはバイクの後ろ。
お兄ちゃんはすぐに前に乗るとエンジンを掛けて走る体制になった。
「掴まってねーと落ちるぞ。」た
そう言って走り出すバイク
こんなの絶対に掴まんなきゃじゃん。
あたしは渋々お兄ちゃんの腰に手を回した。
バイクに乗るのは何年ぶりなんだろか
あの日からだからもう何年も乗ってない。
でも、手入れだけは欠かせない。
乗るのってこんなに楽しかったんだ。