誰よりも優しい総長様
バイクの音は次第に近づいてきてそしてあたしの側で止まった。
怖い
そんなことを思っていると聞き慣れた優しい声があたしの名前を呼んだ。
「卯月?大丈夫か?」
その声はどこか焦っている様にも感じた。
顔を上げればそこには大好きな愛しい人の姿があった。
でも今はそこに嬉しいなんて感情は無かった。
「ねぇ、柚那ちゃんが、柚那ちゃんがお願い、柚那ちゃんを助けて!」
あたしは必死にそう叫んでいた。
人目なんてどうでも良かった。
ただ大好きなあたしの親友を助けたい
それだけだったんだ。
「大丈夫、きっとみんなで救い出すから。とりあえず倉庫に帰ろ?」
そう言われあたしは玲のバイクの後ろに乗せられた。
後ろにのったあたしは振り落とされないように、そしてまるでそこにいるのを確かめるかのように強く抱きしめた。