誰よりも優しい総長様
「そうだよ。あたしとゆずは同じSクラスだよー。」
あ、卯月の方は落ち込んでないのね。
「卯月が一緒ならいっか。」
そう言ってから思い出した。
Sクラスと言えば、他とは違って族の幹部より上のものだけが集まるクラス。
卯月はレディースの総長やってるからSクラスなのはわかるけど、なんであたしまで?
あたしはそこの疑問だけが頭の中に残った。
「あたし、なんで…?」
あたしはやめたのに。
今更なんで?
そんなことを考えていると玲が口を開いた。
「んなら、聞きに行けよ。親父に。」
そう、ここの理事長は玲のお父さんなのだ。
玲とは幼なじみだから、あたしも玲のお父さんのことは知っている。
あたし達はすぐさま理事長室に向かった。
部屋に着けばなんの躊躇いもなく理事長室の扉を開けた。
ガチャッ
「親父。」
そう言って入っていく玲の後ろに続くようにあたしと卯月も部屋に入った。
すると奥のテーブルで作業をしていた男の人が顔をあげた。
「お、玲に…あれ?卯月ちゃんとゆずちゃんも一緒か!」
おじさんはあたしと卯月を見るとあたしの元に向かって歩いてきた。